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vol.12 スフレチーズケーキ

"失敗"から学ぶ、成功する基本のお菓子

第12回目は優しい味わいの「スフレチーズケーキ」。
ふんわり、しっとり仕上げるポイントはメレンゲとオーブンの温度。
「膨らみが悪い」「表面が割れる」という失敗がないよう、メレンゲの立て方と湯煎焼きの注意点をチェックしながらチャレンジしてみましょう。

スフレチーズケーキのよくある失敗

膨らみが悪い

・オーブンの温度が低い
・メレンゲの泡立て不足
・生地の混ぜ過ぎ

表面が割れる

・オーブンの温度が高い
・オーブンの下火が強い
・生地の混ぜ不足
・メレンゲの泡が残っている

失敗しないスフレチーズケーキの作り方

所要時間…焼き上がりまでは2時間半、型を抜くまでは冷蔵庫で一晩

冷蔵保存…ラップをして冷蔵庫で、作った日を含め3日間まで保存可能。
冷凍保存…ラップでしっかり包み、1週間保存可能。食べる場合には冷蔵庫に移して解凍します。

材料

15cm型1台分

クリームチーズ 200g
無塩バター 30g
・レモンの皮 1/2個分

牛乳 100g ※低脂肪は不可
・卵黄 40g(約2個分)
微粒子グラニュー糖 20g
コーンスターチ 10g ※コンスターチは無添加のものを使用

・卵白 60g
微粒子グラニュー糖 30g

スポンジ生地 直径15cm高さ1cm1枚

下準備

・クリームチーズとバターは室温におき、柔らかくする

触って指がすっと入るくらいの柔らかさにする。冬場など、室温が低くなかなか柔らかくならない場合にはラップに包んでレンジで加熱するとよい。ただし加熱しすぎて溶けないように注意。(5秒おきに触って確認する)

【失敗の原因】

クリームチーズやバターが固いままだと、他の材料と混ざりきらない粒が残ってしまい、なめらかな口当たりにならない。
またレンジで加熱して溶かしてしまった場合、再び固めて使用しても口当たりの悪い生地になる。

・レモンの皮をすりおろす

黄色い表皮だけをすりおろす、白いワタを入れると苦くなるので注意。


・コーンスターチはふるう

ダマや不純物を取り除くために必ず行う。

【失敗の原因】

生地中に粉のダマが残ってしまうと、なめらかな口当たりにならない。焼きあがってもそのまま残ってしまう。

・全卵を卵黄と卵白に分け、それぞれ計量し、卵白は使用するまで冷蔵庫で冷やす(L玉で2個、S,M玉で3個程度必要)

夏場、卵白は冷凍庫で少しシャリシャリになるくらいまで凍らせるとよい。

【失敗の原因】

使用するボールやハンドミキサーの羽に油分や水分が残っていると泡立ちが悪くなる。綺麗に洗浄して水分をふき取った道具を使用すること。冷やした卵白を使用すると泡立ちは悪いがキメ細かいメレンゲができる。

・型(共底)の底と周囲にクッキングペーパーを敷き、底にスポンジケーキを入れる

湯煎焼きをするので共底の方がよい。底取れの場合はアルミホイルで底を覆い、湯が入らないようにする。


・オーブンは160℃に予熱する

作り方

1.ボールにクリームチーズ、バター、レモンの皮を入れてゴムベラで練るように混ぜる

ダマにならないように、なめらかになるまで混ぜる。

【失敗の原因】

泡だて器ではなくゴムベラを使用する。泡だて器で混ぜると材料が中に入り込んで全体が混ざりきらない。ゴムベラで練るようにダマがなくなるまでしっかりと混ぜる。


2.耐熱容器に牛乳を入れて温める(600Wで1分程度)

冷蔵庫から出したての冷たい牛乳を温める。ふきこぼれないように注意する。

3.卵黄にグラニュー糖を加えて泡だて器で混ぜる。コーンスターチも加えて混ぜる


【失敗の原因】

混ぜるのはグラニュー糖 → コーンスターチの順番で!
順番を逆にすると混ざりにくく、ダマになることも。

4.2の牛乳を3に加えて泡だて器で混ぜる。湯煎にかけてカスタードクリームを作る

鍋かフライパンに水を入れて沸騰させ、ボールをのせる。火にかけながら、泡だて器でたえずかき混ぜる。線がついてとろりとするカスタードクリームを作る。火からおろし全体がなめらかになるまで泡だて器でぐるぐると混ぜる。
※ボールの底にセルクルなどを置くと、ボールが動かなくて便利。

【失敗の原因】

湯煎にかけすぎると水分が抜け過ぎて生地が固くなるので注意。直火でもよいが、量が少なく焦げる心配があるので湯煎で行うほうがよい。とろみがつくまで湯煎にかけたら、火からおろして温度が均等になるように更にぐるぐる混ぜること。

5.4を1に加えて泡だて器で混ぜる

カスタードクリームが熱いうちに1に加え、すぐに泡だて器で混ぜる。全体がなめらかになるまで混ぜる。表面が乾燥しないようにぬれ布巾をかぶせておく。

【失敗の原因】

カスタードクリームが冷めてしまうとクリームチーズと上手く混ざり合わないので作業は手早く行う。表面が乾燥するとダマができる。メレンゲが出来上がるまで乾燥しないようにする。

6.別のボールに卵白とグラニュー糖を入れて、ハンドミキサーで泡立てメレンゲを作る

グラニュー糖は最初から卵白に全量を入れてハンドミキサーで泡立てる。ツヤがあり、しっかり泡立つまで泡立てる。

【失敗の原因】

グラニュー糖を入れるタイミングでメレンゲの状態が変わるため、泡立てすぎになることも。最初に全量のグラニュー糖を加えておくことで、泡立ちは悪いがキメ細かく安定性のあるメレンゲを作ることができる。

7.メレンゲの一部(ハンドミキサーの羽でひとすくい程度)を5に加えて泡だて器で混ぜる

残りのメレンゲと混ざりやすいように柔らかくする。

【失敗の原因】

混ぜ過ぎると生地がダレて膨らみが悪くなる。メレンゲがなくなるか、マーブル状態でもよい。

8.メレンゲのボールに7を戻しいれて、ゴムベラで混ぜる

メレンゲは軽く混ぜてキメを整えてから7を入れる。ゴムベラでボールの中心から底の生地を持ち上げるようにして全体を混ぜる。メレンゲがみえなくなるまで混ぜる。出来上がりの生地はふんわりとして表面に跡が残る。

【失敗の原因】

混ぜ過ぎに注意。膨らみが悪くなる原因に。写真のチーズケーキ(左)は混ぜ過ぎて膨らみが悪い生地。
また逆に混ぜ不足でメレンゲの泡が残ってしまうと、表面が割れる原因に。

9.型に流す

表面をゴムベラで少しならす。多少、線が残っていてもよい。

10.一回り大きな型にお湯をはり、9を入れる

天板に18cm~21cmの丸型をおいて底に布巾を敷き、1~1.5cm程度の高さまでお湯をはる。生地を入れた型を入れる。

【失敗の原因】

天板にお湯をはると、オーブンに入れる際にお湯がこぼれたり、火傷をしたり危険。一回り大きな型に入れると効率よく湯煎焼きできる。布巾を敷くと、生地が入った型が中で揺れない。

11.160℃のオーブンで50分焼く

予熱したオーブンにいれて約50分焼く。表面が割れる場合には天板を2枚重ねするなど調整する。

オーブン温度、時間は目安。160℃で焼いて表面に色が付かない場合は170℃に、逆に表面が焦げる場合には150℃にしたり、焼成時間を40分にするなど調整する。

【失敗の原因】

上下温度を調整できない家庭用オーブンの場合、下火が強く表面が割れる場合が多い。天板を2枚重ねするなど工夫するとよい。
写真(下)は天板1枚で焼いた場合。表面が割れている。



12.焼きあがったらオーブンにいれたまま冷ます

オーブンに入れたまま30分程度そのままにして、余熱で火を通す。

【失敗の原因】

オーブンからすぐに出すとしぼんでしまうことも。余熱で完全に火を入れる。

13.オーブンから出し、型のまま網の上で完全に冷ます。冷蔵庫でしっかりと冷やし型からはずす

型のままラップをして冷蔵庫で一晩しっかりと冷やし、ひっくり返して型から抜く。

【失敗の原因】

出来上がりはとても柔らかいので冷蔵庫で冷やしてから型からはずす。温かいうちは崩れたりするので注意。

14.完成

簡単アレンジ

基本のスフレチーズケーキのアレンジをご紹介します。

季節のフルーツと生クリームでデコレーション

<材料>
・季節のフルーツ
・クレームシャンティ…生クリーム100gにグラニュー糖10gを入れて8分立てに泡立てて絞る

マフィンカップに入れて小さく焼く

<材料>
上記の基本のスフレチーズケーキと同量。8個分。

1.出来上がった生地をマフィンカップに入れる。
2.バットに布巾を敷き、1~1.5cm程度の高さまでお湯をはる。
3.マフイン型を置いて、160℃のオーブンで40分焼き、オーブンにいれたまま30分おく。
4.オーブンから出し、完全に冷めたら型のまま冷蔵庫で冷やして完成。

カップスフレチーズケーキをデコレーション
カップケーキ風に

<材料>
・季節のフルーツ
・クレームシャンティ…生クリーム100gにグラニュー糖10gを入れて8分立てに泡立てて絞る

筆者紹介

sweetribbon

隈部美千代

東京・門前仲町にて、2006年7月より「贈るお菓子」をテーマとしたお菓子教室Sweet Ribbon主宰。お菓子作りを通して、手作りの楽しさや贈る喜び、優しい豊かな気持ちを伝えています。

Sweet Ribbonホームページ http://michiyokumabe.com/

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