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vol.15 ガトーショコラ

"失敗"から学ぶ、成功する基本のお菓子

第15回目はチョコレートを使用した代表的なケーキ「ガトーショコラ」。
チョコレートのお菓子は、温度管理がポイント。
ふんわり、しっとり仕上げるにはメレンゲの立て方も重要です。
「空洞ができる、陥没する」「膨らみが悪い」という失敗がないよう、いくつかのポイントをマスターしましょう。

※ガトーショコラには様々なレシピが存在しますが、今回は粉の量が多めで、初心者さんでも上手に焼ける配合をご紹介します。

ガトーショコラのよくある失敗

空洞ができる、陥没する

・作業の途中でチョコレートが固まり、他の材料が混ざっていない
・生地の混ぜ不足
・メレンゲの泡が残っている
・オーブンの温度が高い

膨らみが悪い

・生地の混ぜ過ぎ
・メレンゲの泡立て不足
・オーブンの温度が低い

失敗しないガトーショコラの作り方

所要時間…焼き上がりまで1時間30分

保存…保存容器やラップに包んで、常温で4、5日程度保存可能。夏場は冷蔵保存
冷凍保存…ラップで包み2週間程度保存可能。常温で解凍

チョコレートの味が際立つ、当日~翌日にいただくのが美味しいです。

材料

15cmホールサイズ1台分

チョコレート 50g
無塩バター 60g

・卵黄 40g(約2個分)
微粒子グラニュー糖 40g
ラム酒 5g

・卵白 70g(約2個分)
微粒子グラニュー糖 35g

薄力粉 30g
カカオパウダー 15g

粉糖 適量

下準備

・チョコレートとバターを溶かす

ボウルにチョコレートと1~2cm角にカットした無塩バターを入れて湯煎で溶かす。

【失敗の原因】

湯煎の温度はお風呂より熱めの50℃くらいを目安に。鍋に火をかけたまま、湯煎をするとチョコレートの温度が上がり過ぎてしまい、焦げたり、油分が分離したり、チョコレートが本来もつ口溶けの良さや風味を失ってしまう。
バターは細かくカットしてチョコレートと同じタイミングで溶けるようにする。

・薄力粉とカカオパウダーをふるう

ダマや不純物を取り除くために必ず行う。

【失敗の原因】

生地中に粉のダマが残ってしまうと、なめらかな口当たりにならない。焼きあがってもそのまま残ってしまう。


・全卵を卵黄と卵白に分けて計量し、室温に戻す

レシピ分量はL玉2個程度。

【失敗の原因】

材料が冷たいと、混ぜているうちにチョコレートが固まってしまうので室温に戻すこと。


・使用する道具を綺麗に洗浄し、水分を拭き取る

使用するボウルやハンドミキサーの羽に油分や水分が残っていると泡立ちが悪くなる。綺麗に洗浄して水分をふき取った道具を使用すること。

・型の底と周囲に敷紙を敷く


・オーブンは180℃に予熱する

作り方

1.ボウルに卵黄とグラニュー糖(40g)を入れて混ぜる

白っぽくもったりとするまで泡だて器で混ぜる。

【失敗の原因】

卵黄にグラニュー糖を加えたらすぐに混ぜること。
卵黄に含まれる水分がグラニュー糖に吸い込まれてダマになってしまうため。

2.溶かしたチョコレートとバターを1に加えて混ぜる

湯煎で溶かしたチョコレートとバターを一度に加えて泡だて器でぐるぐる混ぜる。全体が混ざればOK。

【失敗の原因】

チョコレートやバターの粒が残っていると、そのまま溶けずにダマになる。人肌より温かく、流動性のある状態(40℃くらい)で加える。
また泡だて器でホイップすると空気がはいり、チョコレートの温度が下がって固まってしまうので注意。泡だて器はホイップするのではなく、ぐるぐると混ぜる。

3.ラム酒を加えて混ぜる

一度に加えて、泡だて器でぐるぐる混ぜる。

【失敗の原因】

ステンレスやマーブル台など、冷たいテーブルの上に直接ボウルを置くと生地の温度が下がってチョコレートが固まってしまう。布巾などを下に敷く、温かい場所に置く、などをして温度を保つ。

4.別のボウルに卵白とグラニュー糖(35g)を入れてハンドミキサーで泡立て、メレンゲを作る

グラニュー糖は最初から卵白に全量を入れてハンドミキサーで泡立てる。ツヤがあり、しっかり泡立つまで泡立てる。

※キメ細かいメレンゲを作るため、卵白を冷やしておくことがあるが、チョコレート生地の場合は、合わせたときにチョコレートが固まってしまうため、常温の卵白を使用する。

【失敗の原因】

グラニュー糖を2、3回と分けて入れると、泡立てすぎになることも。今回は粉の量が多い配合のため、ふんわりとしたメレンゲではなく、キメの細かいメレンゲを作る必要がある。最初に全量のグラニュー糖を加えておくことで、泡立ちは悪いがキメ細かく安定性のあるメレンゲを作ることができる。

5.2にふるった薄力粉とカカオパウダーを加えて混ぜる

一度に加え、泡だて器でぐるぐる混ぜる。

【失敗の原因】

粉を入れる前の2の生地は泡立て器の線がつかない状態(30℃程度)に。
線が残る場合は、湯煎(50℃程度)で軽く温めて温度を調整してから粉類を加える。冷えた状態で粉を加えると生地が固くなり、メレンゲを加えた際にスムーズに混ざらず、空洞、陥没、膨らみ不足など様々な失敗の原因に。

泡立て器の線がつかない生地状態で粉類を加えて混ぜる(上の画像)
線が残る場合は湯煎で温めてください(下の画像)

6.メレンゲの一部(ハンドミキサーの羽でひとすくい程度)を5に加えて泡だて器で混ぜる

メレンゲはハンドミキサーの羽で全体を混ぜ、キメを整えてからひとすくいを5に加える。泡だて器の中に入った生地を落としながら2、3回混ぜる。マーブル状態でよい。

【失敗の原因】

メレンゲは出来上がって時間がたつとボソボソした状態になってしまい、チョコレートは時間がたつと固まってきてしまう。そのため、4(メレンゲ作り)と5(粉合わせ)は2人でそれぞれの作業を同時に行い、すぐに生地を合わせるのがベスト。ひとりで行う場合は手際よく行う。

7.残りのメレンゲに6を加えて、ゴムベラで混ぜる

メレンゲは軽く混ぜてキメを整えてから6を入れる。ゴムベラでボウルの中心から底の生地を持ち上げるようにして全体を混ぜる。メレンゲがみえなくなるまで混ぜる。
出来上がりの生地はツヤがあり、表面に少し跡が残る。

【失敗の原因】

混ぜ過ぎに注意。膨らみが悪くなる原因に。
逆に混ぜ不足でメレンゲの泡が残ってしまうと、空洞や陥没の原因になる。

混ぜ過ぎて膨らみが悪い生地(右の画像)

8.型に流す

型を揺らして表面をならす。多少、線が残っていてよい。

9.180℃オーブンで30分焼く

予熱したオーブンにいれて約30分焼く。上面を触って弾力があればOK。

【失敗の原因】

中心が焼けていないのにオーブンから取り出すと、陥没の原因に。割れた中心部を触って、シュワシュワした生っぽい生地がある場合は5分延長して様子を見る。

10. 焼きあがったらオーブンから出し、網の上で冷ます

11. 粗熱がとれたら型からはずし、上面に粉糖をふる

12.完成

13.生クリームを添えると更に美味しく

簡単アレンジ

基本のガトーショコラのアレンジをご紹介します。

季節のフルーツと生クリームでデコレーション

<材料>
・基本のガトーショコラの材料
・季節のフルーツ(いちご)
・ピスタチオ
・生クリーム 100g
・グラニュー糖 10g

1.生クリームにグラニュー糖を加え、8分立てに泡立て、スプーンでケーキの上面にのせて広げる。
2.カットしたいちご、ピスタチオをのせて、粉糖をふる。

パウンド型で焼く

<材料>
・基本のガトーショコラの材料
<道具>
パウンド型

サイズ
上部:縦180×横80×高さ80mm
底部:縦170×横70mm
容量:約1000ml

1.パウンド型で焼く場合は、基本の作り方の7で少し泡を消すように多く混ぜる。
2.180℃のオーブンで35分焼く。(丸型で焼くときより少し長めになる)
3.粗熱がとれたら型からはずし、上面に粉糖をふる。

筆者紹介

sweetribbon

隈部美千代

東京・門前仲町にて、2006年7月より「贈るお菓子」をテーマとしたお菓子教室Sweet Ribbon主宰。お菓子作りを通して、手作りの楽しさや贈る喜び、優しい豊かな気持ちを伝えています。

Sweet Ribbonホームページ http://michiyokumabe.com/

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