今から8年前に夫のロドルフ・ランドメンヌさんが石川さんに贈ったプロポーズの決定的な言葉だ。出会った頃、石川さんは11歳年下のロドルフさんを男性として見ることすらなかったという。パリには生きる道を探すため、それまで積み重ねてきたものを捨てて来ていたから。
父は政治家(現在は引退)、母は会計士という家庭に長女として生まれ、身のまわりの世話はお手伝いさんがしてくれる環境に育った石川さん。そのためか独立心が強かった。自分から望んで3歳の時にピアノを習い始め、夢はエレクトーンの先生。その夢は後に叶えた。
「じっと座って授業を聴く学校の勉強は嫌いな子供でした」と話すように、行動派で探究心も備えもつ。父の選挙を家族で手伝うたびに周囲から「政治家向き」と評判だったようだ。まだ女性がその世界に進出することは珍しかった時代。「芳美ちゃん、男の子だったらよかったのにね」。よくそう言われたらしい。 「弟は勉強が出来て学究肌。私は外に出て行くタイプ。当時は人に言われても何とも感じなかったけれど、今になってみれば『ああ、なるほど』と思いますね」