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朝倉誠二/Seiji Asakura
取材記事③ “ザ・パン屋”

パリで何軒かのブーランジェリー勤めを経て、朝倉さんは巨匠ベルナール・ガナショーの流れを汲む店の門を叩いた。ここでももちろん紹介なし。やはり門前払いされそうになったが、バゲットを成形して見せ、技術力で迎え入れられた。

「“大胆だ”ってよく言われるんですけど、どうしても知りたくて。ガナショーのバゲット『フルート・ガナ』。僕は薪で焼くパンをやりたいと決めていたので、ボーリッシュを修得したかったんです。もともとグルテンが少ないフランスの粉を液種に入れて一晩置くことで、旨味と伸びのすごい生地になるポーリッシュ製法はとても理にかなっている。無名のパン職人たちの知恵の結晶が何百年もの淘汰を乗り越えて受け継がれ、僕らが恩恵を受けている。それを感じた時、やっぱり僕も一生をかけて、無名でいいからこの世界に何かを残したい。次世代に何が残せるか。そうやって突き詰めて考えると、また違う目で色々なものが見えるようになって来るんですよね」


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