小松菜をたっぷり混ぜ込んだ緑色のスポンジケーキ。栃木のベジタリアンレストランで柿沢さんがつくった野菜ケーキは、訪れる人々からもとても喜ばれたという。
「過去にケーキ店を辞めて以来、健康にいいお菓子ってつくれないかな、との思いはずっとありました。
野菜を入れれば油脂や砂糖を減らせますし、甘さを抑えることで、むしろ野菜の持ち味が生きる。
それに、野菜のお菓子をつくると、お客様も興味を持ってくださって、『この野菜ってそうやって育つんですねえ』なんて会話にもつながりました。
楽しんでもらえて、体にやさしく、農家にとってもプラスになり、野菜のお菓子っていいな、と思ったんです」
こうして2006年、柿沢さんは、現在の東京・中目黒に場所を移し、野菜スイーツ専門店「パティスリー ポタジエ」を開く。
栃木での確かな経験に基づいての決断だった。
とはいえ、野菜スイーツはやや異色な上に、新たな舞台は、激戦区の東京。
不安はなかったのだろうか。