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森田一頼/Kazuyori Morita
取材記事① 「料理」と「お菓子」とを分けない。"気づき"を与える自由な食材づかい

『リベルターブル』のお菓子について、評判をインターネットで探ってみれば「驚き」「意外性」「挑戦的」「前衛的」といった表現が並んでいる。その理由のほとんどはシェフ・森田一頼さんの食材使いにあると言っていい。例えば、代表作とされる「リュクス」はショコラムースに黒トリュフを合わせてある。『ゼニス』のパータフォンセの中にはフォアグラのフランが、「シャルム」にはポルチーニ茸のムラングが使われている。「お菓子に、料理の高級食材を?」――第一印象として多くの人がそう感じることだろう。

「『これは料理の食材』『これはお菓子の食材』って、結局は誰かが決めたことだと思うんですね。それに従って使うことが当たり前だと考えるのはただの固定概念で、本来はもっと幅の広いもの。『こういうお菓子を作りたい』と考えた時、すべての食材から選んだものがフォアグラやトリュフだったというだけであって、僕にとっておかしなことではありません。べつに奇をてらったわけでなく作っている、というのが本当のところです。だから、よく『料理に使うような食材を使うのが特徴のパティシエだ』と言われるのは、自分としてはちょっと違和感がありますね」

森田さんによればフォアグラも「アブラのひとつなんです」。 「お菓子に取り入れるバターであったり、オリーブオイルであったり、そこに置き換えようと視点を変えた時、じゃあフォアグラを使ってこういうお菓子が出来るんじゃないか、と考えるようにしています」 焼き上がりの食感を“カリッ”“サクッ”“ホロッ”など、どこを目指すのか、それによって油脂分に何を選ぶか。バターやオリーブオイルと同様にフォアグラも選択肢の1つなのだという。



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