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森田一頼/Kazuyori Morita
取材記事② お菓子そのものの構成や美しさだけでなく、おいしさを高め、世界観を伝えるための空気をつくる。

「はじめは料理をやろうと考えていたんですけど、生の魚や肉を常に扱っている自分の姿はイメージに無かったんですね。ちょっとリアル過ぎるというか(笑)お菓子のほうが繊細に色々な表現が出来ていいな、と。やるからにはトップを目指すしかないと思ったので。自分なら料理よりお菓子のほうが向いているんじゃないかなって。まあ、浅薄な考えですけど。」

学校へ通いながら、就職先として都内の有名パティスリーを見て回った森田さん。その中で「まさに店内に足を踏み入れた瞬間」と言うほど感性に響いたのが吉祥寺『レピキュリアン』だった。

「洋菓子の基本であるクラシックなフランス菓子の技術をしっかり身につけたいという思いがありましたから、お店のたたずまいからケーキの並んでいる様子まで、一目で惹かれ、卒業後はそのまま就職しました。すごく厳しいお店で、新人が簡単に自分のお菓子を作るなんていうことは出来なくて、仕事は見て学ぶ。教えてもらうのではなく、シェフの技術を見て盗む感じです。そういう環境で働かせてもらったおかげで『こういう味がするのかな』『あ、これってこうやって作るのか』とか、作業しながらも色々考えることが出来ましたね。考えたことを宿題みたいに持ち帰り、一人で勉強しました。」

金子哲也シェフがもつフランス帰りの感覚と技術を目の当たりにして、森田さん自身も渡航修業を決意する。



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