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Interview vol.2
詳細なレシピで伝える、
オーブン・ミトンの味と食感

世のお菓子好きの中には、小嶋さんのお菓子に、その数々の著書を通じて親しんでいるひとも少なくないだろう。
ベーシックな焼き菓子の生地づくりを、オーブン・ミトン流に詳細に解説したロングセラー『おいしい!生地』(文化出版局刊)をはじめ、小嶋さんの著書には熱心なファンが多い。
そこに掲載されるレシピの特徴は、多くの本ではさらりと書かれるような作業工程を、綿密に掘り下げている点にあるといえるだろう。
例えば、バターと卵を泡立てたところに、粉を加えて混ぜ込むという一工程のみ取り上げても、

・ゴムベラの面を立てて持ち……
・ボウルの時計の2時の位置にヘラを入れ、8時の方向に、ボウルの底をまっすぐに通るように動かし……
・ボウルの側面に沿って生地をすくい上げるようにヘラを持ち上げ……
・左手ではボウルを手前に60度回転させ……
・生地を中央に落とす。


など、動き一つ一つにコツ、注意点が克明に示されるのだ。
それを実行した読者の多くが、これまでのお菓子づくりとは180度変わり、
自分のつくったお菓子の出来栄えに目を見張ってしまうほどだ。

1989年から続くケーキ教室においても、本以上の細やかな指導方法がとられ、熱意ある受講生たちに好評を博している。
このようにレシピが詳細化していった原点は、そもそも、小嶋さんのお菓子づくりのノウハウを店のスタッフに伝えることにあったという。

小嶋さん:

職人は目で見て盗めと言われていますが、それだけではミトンの本質に到達するまでに時間がかかりすぎます。
また繊細な味をつくり出す作業の全てまでは分かり得ません。
スタッフに私が行っている通りの作業をしてもらわなければ、お菓子の仕上がりにムラが出てきます。常に目指す味を一定につくり上げるのがプロの仕事。
それをつくり上げるために混ぜ方、回数、温度、生地状態を細かく示唆していくようになりました。教室でも同様に、ロットは小さくなりますが、家庭でのお菓子づくりに合わせ何回もつくり込み、注意点を探り、きちんとした完成品になるようレシピをつくり上げ解説をします

分量に関しても、例えば「カシスのクランブルケーキ」のクランブルの材料を見てもわかるように、発酵バター17g、アーモンドパウダー(カーメル種)26gと、まさに1グラム単位の綿密さだ。

小嶋さん:

簡単なレシピだけでは、つくっている最中に不安になる点が多々あり、きちんとした完成品になりません。ポイントをしっかり挙げ、わかり易いミトン流のつくり方に変えるからこそ読者の方々に満足して頂けるのだと思います。そして私の味が伝わるのだと思っています。
よく教室で『何回くらい混ぜるのですか?』と聞かれます。
実際皆さんが一番知りたいことですよね。でも一概に何回と言われても、混ぜ方が皆違うので正しく言い表せません。つくり手の混ぜ方を正しく統一しなくては、回数の意味はないんです。
ミトンで使われている混ぜ方は、それぞれの生地にとって負担が少なくベストに出来上がるよう、長年研究したものです。ですから、そこに最も力を入れて指導させて頂いています。
生徒さんには、無意識に手を動かすのではなく『脳の指令を手に伝え、ゴムベラに伝え、そのゴムベラの先に目がついているかのように感じながら作業してくださいね』とお話ししています

小嶋さんの、生徒に本気で向き合う姿勢が伝わってくる。
また最近では〝手の圧力〟を伝えることを心がけるようにしているそうだ。

小嶋さん:

パティシエは男性が多いですし、長く働いてきた私たち女性のパティシエも一般の方々より作業する力、手の圧力が何倍もあるのです。その力の差がプロなんです。そこに近づけることが上達のポイントにもなります。そこで、『音がするくらいの圧力で』とか『ホイッパーのワイヤーが常に3、4本、しなっているくらいの圧力で』というように、圧力で目安を伝えるようになりました。このポイントを押さえることで、確実に混ざりがよくなりますから。



圧力を持って生地と接することで、味の凝縮した、より上質の美味しさをつくり上げることに繋がると言い切る。
小嶋さんのメソッドによるお菓子づくりを、ぜひ初心者の方々をはじめ、多くのひとに実践してもらいたい。

- Interview vol.3 へ続く -

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