東京・麹町にある古き良きフランス。それが名パティスリーとして知られる「パティシエ・シマ」だ。エスプリの効いた外観や内観、商品ラインナップは、フランスの歴史と職人気質を感じさせる。ここでエグゼクティブ・シェフを務めるのが島田徹さんだ。
「大学3年の頃、いつも家にあったケーキが突然なくなってしまって。子どものころから毎日当たり前のように食べていた父のケーキ。他のお店のケーキも食べてみたんですけど、好きだった味とは違っていて。それで初めて、いつか父がいなくなったら、自分が食べたいケーキが食べられなくなってしまうって気づいたんです。当時の父のお客様たちからも父の味を求める声がたくさん届いて、これを職業にするのもいいなって思い始めました」