今年のガレット・デ・ロワは、変わりバージョンにしてみました。オーソドックスなものは、ガレット・デ・ロワを参照してくださいね。。さて、私がコルドン・ブルー・パリ校の初級の学生だったころ、ピティヴィエなるものを習いました。これがいわゆる、日本で言うところのガレット・デ・ロワの原型となります。この時に初めて、典型的な折込パイ生地(パート・フィユテ)を習ったのですが、初級生にはなかなか難しいものでした。実際、バターの折込みがきちんとされていないと、きれいな層にならないし、成形するときにもコツがあって(上の生地を90度回して重ねる)、それが出来ていないといびつになってしまうことがありました。
今回も冷凍パイシートを使います。中のクリームを2種類、それもタイプの違うものを用意しました。ひとつは、クレーム・ダマンド(アーモンドクリーム)のタイプ、もうひとつはフランジパーヌ(クレーム・パティシェールが入ったもの)のタイプです。クレーム・ダマンドの方は、アールグレイ風味で栗入り(他にはオレンジピールなどを入れても)、フランジパーヌの方は、ココア&オレンジにしてみました。
さて、ピティヴィエの由来ですが、実はフランスにはロワレ県の中にピティヴィエと呼ばれるコミューン(小さな街)があって、そこの郷土菓子はクレーム・ダマンドの入った折込パイ生地で作ります。そして、花の形をした切れ込みを入れて、模様を付けます。これがお菓子のピティヴィエです。ガレット・デ・ロワの原型のようなお菓子です。
ガレット・デ・ロワの生地の模様や縁の切り込み方+仕上げは、ガレット・デ・ロワを参照してください。ここでは、主にピティヴィエの作り方で説明します。と言っても、違うのは縁の仕上げ方だけです。どちらもクリームは、オーソドックスなクレーム・ダマンドで作られるのが主流です。
注:レシピの転用・掲載などの二次利用はお断りしております。
市販の折込パイ生地の準備
材料(直径18cm 1個分)
・パイシート 1枚
合わせて、こちらのレシピを参照してください。
作業台に強力粉をはたいて、麺棒でパイ生地の中央から、上下にまんべんなく生地を伸ばして、長い長方形に成形する。厚さは5mm程度。
伸ばしたら、薄く打ち粉をはたいて麺棒で生地を丸めて取り、ベーキングパーパーを乗せたクッキーシート(天板)の上に乗せる。万が一、生地の方が長かったら、軽く生地を折って冷蔵庫で30分ほど休ませる。(この間に中に詰めるクリームを用意しておく)
取り出して、再び打ち粉をした作業台に乗せたら、直径18cm程度の大きさに2枚切り取る。お皿、セルクル、丸型など何でも代用できます。使う方の生地はそのままにして、要らない生地だけを取り除く。使うまでラップなどをかけて冷蔵庫で休ませておく。
アールグレイのクレーム・ダマンド
こちらのレシピを参照してください。
これに応用編として、渋皮煮や栗の甘露煮を入れたり、他にはオレンジピールや柚子ピールなど、柑橘系のピールを混ぜたクリームを用意するとよいです。同じレシピで、柑橘系のピールは45gを細かく切って入れても、OKです。栗は丸ごとでも、あるいは切ったものを入れてもいいですね!
ふるったアーモンドパウダーとココアは混ぜ合わせておく。ボウルに柔らかいバターを入れてよく練ってから、これにキビ砂糖、卵、粉類の順によく混ぜる。最後にコアントローとオレンジピールを入れて、さっくりと混ぜ合わせる。
冷蔵庫に入れて、やや硬めのクリームを作る
ボウルに卵黄を泡だて器でよくほぐしてから、キビ砂糖を入れて白っぽくなるまでよく混ぜ合わせる。
これにコーンスターチと薄力粉を一緒にふるったものを加えてよく混ぜ合わせる。
牛乳にバニラビーンズを入れて、中火にかけて鍋肌がフツフツと沸くまで温める。これを一気にボウルに入れて、泡だて器でよく混ぜ合わせる。濾しながら、この液体を鍋に戻す。
中火にかけて、ひっきりなしに泡だて器でかき混ぜながら、カスタードを作る。沸騰(なべ底がパフッパフッとなるまで)したら、1分ちょっとよく混ぜながら火を通す。
これをボウルなどに移し替えて、上にラップを密着させてカバーして、氷水などに当てて冷ます。
冷めたクレーム・パティシェールをよく泡だて器でかき混ぜて練る。解きほぐしたクリームを80g、ココア&オレンジクリームに入れて、よく混ぜ合わせる。
冷蔵庫から切ったパイ生地を取り出して、クッキーシート(天板)などにベーキングペーパーを乗せた上に、底の生地を乗せる。底の生地の周りに卵液(卵黄と少々の水で合わせて混ぜた物)をハケで塗る。その際に生地の側面に付かないようにする
作ったクリームを絞り袋(丸口金)に入れて卵液を塗った内側に3層ぐらいの円錐形になるようにクリームを絞る。パレットナイフで形を整える。
上の部分にあたる生地を、下の生地に対して90度に回して、そのままピタリと張り合わせる。中に空気が入らないようにして、生地を軽くクリーム(中の)に沿わせて形を整える。クリームの部分と周りの縁の生地の間に空気が入らないように、クリームの部分の境目をよく手で押さえて密着性をよくすることが、中のクリームが焼成の時に流れ出さないコツです。この大きさの丸型の容器などで軽く生地を押さえて、よく密着させるとよいです。そのまま冷蔵庫で少し休ませる。
休ませたドーム型の生地を取り出して、上に空気穴をあけてから、卵液をハケで2度塗る。出来たら、また冷蔵庫で15分ぐらい休ませてから、ナイフでガレットの縁に斜めに両サイドから切り込みを入れて、花びらのように作って行く。
上の模様はお好きなように。私はナイフの背の方の先を当てて、4ヶ所に楕円形に上部中央から下に模様を付けて、さらに内側に同じように2重に切れ込みを入れてから、その中に十字に模様を付けました。そして他の部分は、縦横に等間隔で模様を入れて、花びらの縁には斜めに模様を入れました。
200℃でオーブンに予熱を入れている間に、ガレットを冷蔵庫で休ませておく。
200℃のオーブンで25分程度焼いてから、さらに温度を180℃に下げて10~15分ほど、しっかりとした、きつね色になるまで焼きあげる。
ナパージュを用意しておいて、オーブンから取り出したばかりのガレットにきれいに塗る。冷まして、出来上がり。
アールグレイと栗の方も同じように作ります。模様を変えて作ってみてくださいね。大きな栗だったら、画像のように真ん中に埋め込んでもいいと思います。
断面図はこんな感じになります。
数量:直径18cmのもの1個分
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「ピティヴィエ&ガレット・デ・ロワ」panipopo
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